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- 2021/02/17

プラスチックとは?樹脂やポリマーとの違いや主な成形方法

プラスチックとは?樹脂やポリマーとの違いなどの基礎知識

私たちの生活の中には、たくさんのプラスチックが溢れています。 プラスチックとは英語の「Plasticity=可塑性(かそせい)を持つもの」という意味があります。では可塑性とは何かというと、こねたり押しつぶしたりした際に、形が自由に変形して元に戻らない性質のことを言います。

可塑性=粘土のような性質のこと

とはいえ身の回りのプラスチックで出来たコップやお皿は固くてとても押しつぶしたりするのは難しいですし、力を加えすぎると割れてしまいますよね。ですが熱を加えるとどうでしょう?皆さんもプラスチックの容器を火に近づけて変形してしまったり、溶けてしまった経験はないでしょうか。
これを熱可塑性といい、熱を加えることで粘土のように自由に成形出来るようになる物質の総称を「プラスチック」と呼びます。(逆に熱を加えると固まる性質をもつ樹脂もあり、それらを熱硬化性樹脂といいます)

プラスチック=熱可塑性を持つものの総称

プラスチックはその成形のしやすさと材料の価格や汎用性の高さから、日用品から家電製品や自動車関連部品に至るまで、あらゆる場面で使われています。
フジデノロモールドでは、特に家電製品や自動車部品に使われるプラスチック製品を製造しておりますので、もしかすると身近な部品に私たちの製品が関わっているかもしれませんね。

ちなみにプラスチックと似た意味で、樹脂やポリマー(人工樹脂)といった言い方をする場合がありますが、樹脂やポリマーはプラスチックの材料の事でプラスチックそのものを指す言葉ではありません。
中でも「(天然)樹脂」は松脂などの樹液が固まってできた固体のことを指し、人工的に化学物質を用いて作られた樹脂と同じような質感を持つ材料の事を「合成樹脂(もしくはポリマー)」と呼びます。

プラスチック材料(樹脂)の種類と用途・物性

プラスチックに使われる樹脂(合成樹脂含む)の種類は大変多く、耐熱温度や各種薬品や油への耐性、用途に応じて何十種類も存在しています。

今回は中でも日本プラスチック工業連盟がまとめている21種類をご紹介いたします。

JIS略語樹脂名特徴主な用途
熱可塑性樹脂PEポリエチレン低密度ポリエチレン水より軽く(比重<0.94)、電気絶縁性、耐水性、耐薬品性、環境適性に優れるが耐熱性は乏しい。機械的に強靭だが柔らかく低温でももろくならない。包装材(袋、ラップフィルム、食品チューブ用途)、農業用フィルム、電線被覆、牛乳パックの内張りフィルム
高密度ポリエチレン低密度ポリエチレンよりやや重い(比重>0.94)が水より軽い。電気絶縁性、耐水性、耐薬品性に優れ、低密度ポ リエチレンより耐熱性、剛性が高い。白っぽく不透明。包装材(フィルム、袋、食品容器)、シャンプー・リンス容器、バケツ、ガソリンタンク、灯油かん、コンテナ、パイプ
EVA樹脂透明で柔軟性があり、ゴム的弾性に優れ低温特性に富んでいる。接着性に優れるものもある。耐熱性は乏しい。農業用フィルム、ストレッチフィルム
PPポリプロピレン最も比重(0.9~0.91)が小さい。耐熱性が比較的高い。機械的強度に優れる。自動車部品、家電部品、包装フィルム、食品容器、キャップ、トレイ、コンテナ、パレット、衣装函、繊維、医療器具、日用品、ごみ容器
PVC塩化ビニル樹脂燃えにくい。軟質と硬質がある。水に沈む(比重1.4)。表面の艶・光沢が優れ、印刷適性が良い。上・下水道管、継手、雨樋、波板、サッシ、床材、壁紙、ビニルレザー、ホース、農業用フィルム、ラップフィルム、電線被覆
PSポリスチレンポリスチレン透明で剛性があるGPグレードと、乳白色で耐衝撃性をもつHIグレードがある。着色が容易。電気絶縁性がよい。ベンジン、シンナーに溶ける。OA・TVのハウジング、CDケース、食品容器
発泡ポリスチレン軽くて剛性がある。断熱保温性に優れている。 ベンジン、シンナーに溶ける。梱包緩衝材、魚箱、食品用トレイ、カップ麺容器、畳の芯
SANAS樹脂透明性、耐熱性に優れている。食卓用品、使い捨てライター、電気製品(扇風機のはね、ジューサー)、食品保存容器、玩具、化粧品容器
ABSABS樹脂光沢、外観、耐衝撃性に優れている。OA機器、自動車部品(内外装品)、ゲーム機、建築部材(室内用)、電気製品(エアコン、冷蔵庫)
PETポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)延伸フィルム
~200
透明性に優れ、強靭で、ガスバリア性に優れている。絶縁材料、光学用機能性フィルム、磁気テープ、写真フィルム、包装フィルム
無延伸シート
~60
透明性に優れ、耐油性、成形加工性、耐薬品性に優れている。惣菜・佃煮・フルーツ・サラダ・ケーキの容器、飲料カップ、クリアホルダー、各種透明包装(APET)
耐熱ボトル
 ~85
透明で、強靭で、ガスバリア性に優れている。飲料・醤油・酒類・茶類・飲料水などの容器(ペットボトル)
PMMAメタクリル樹脂
(アクリル樹脂)
無色透明で光沢がある。ベンジン、シンナーに侵される。自動車リアランプレンズ、食卓容器、照明板、水槽プレート、コンタクトレンズ
PVALポリビニルアルコール

水溶性、造膜性、接着性、耐薬品性、酸素バリア性に優れる。ビニロン繊維、フィルム、紙加工剤、接着、塩ビ懸濁重合安定剤、自動車安全ガラス


PVDC塩化ビニリデン樹脂
(ポリ塩化ビニリデン)
無色透明で、耐薬品性が良く、ガスバリア性に優れている。食品用ラップフィルム、ハム・ソーセージケーシング、フィルムコート
PCポリカーボネート無色透明で、酸には強いが、アルカリに弱い。特に耐衝撃性に優れ、耐熱性も優れている。DVD・CDディスク、電子部品ハウジング(携帯電話他)、自動車ヘッドランプレンズ、カメラレンズ・ハウジング、透明屋根材
PAポリアミド(ナイロン)乳白色で、耐摩耗性、耐寒冷性、耐衝撃性が良い。自動車部品(吸気管、ラジエタータンク、冷却ファン他)、食品フィルム、魚網・テグス、各種歯車、ファスナー
POMアセタール樹脂
(ポリアセタール)
白色、不透明で、耐衝撃性に優れ耐摩耗性が良い。各種歯車(DVD他)、自動車部品(燃料ポンプ他)、各種ファスナー・クリップ
PBTポリブチレンテレフタレート
(PBT樹脂)
白色、不透明で、電気特性その他物性のバランスがいい。電気部品、自動車電装部品
PTFEフッ素樹脂乳白色で耐熱性、耐薬品性が高く非粘着性を有する。フライパン内面コーティング、絶縁材料、軸受、ガスケット、各種パッキン、フィルター、半導体工業分野、電線被覆
熱硬化性樹脂PFフェノール樹脂電気絶縁性、耐酸性、耐熱性、耐水性が良い。燃えにくい。プリント配線基板、アイロンハンドル、配電盤ブレーカー、鍋・やかんのとって・つまみ、合板接着剤
MFメラミン樹脂耐水性が良い。陶器に似ている。表面は硬い。食卓用品、化粧板、合板接着剤、塗料
UFユリア樹脂メラミン樹脂に似ているが、安価で燃えにくい。ボタン、キャップ、電気製品(配線器具)、合板接着剤
PURポリウレタン柔軟~剛直まで広い物性の樹脂が得られる。接着性・耐摩耗性に優れ、発泡体としても多様な物性を示す。発泡体はクッション、自動車シート、断熱材が主用途。非発泡体は工業用ロール・パッキン・ベルト、塗料、防水材、スパンデックス繊維
EPエポキシ樹脂物理的特性、化学的特性、電気的特性などに優れている。炭素繊維で補強したものは強い。電気製品(IC封止材、プリント配線基板)、塗料、接着剤、各種積層板
UP不飽和ポリエステル樹脂電気絶縁性、耐熱性、耐薬品性が良い。ガラス繊維で補強したものは強い。
浴槽、波板、クーリングタワー、漁船、ボタン、ヘルメット、釣り竿、塗料、浄化槽

※常用耐熱温度(℃)は、それぞれの樹脂の一般的な使用方法における、耐熱温度を示すものです。汎用樹脂とエンプラ、熱硬化樹脂では意味合いが異なります。(汎用樹脂は、短時間耐える温度、エンプラ、熱硬化樹脂では、長時間耐える温度とも言えます。)

主なプラスチックの特性と用途

引用:日本プラスチック工業連盟(http://www.jpif.gr.jp/2hello/conts/youto_c.htm

プラスチックの主な製造・成形方法

プラスチックの製造・成形方法にも沢山の種類があります。

代表的なものは、

  • 射出成形
  • 圧縮成形

などで、特に射出成形(加熱溶融した可塑性材料を高圧で金型内に射出し、冷却固化させた後、製品を取り出す手法)でほとんどの製品は製造が可能ですが、特殊な形状の製品や発泡した製品を作る際などは、製品に応じて適した成形方法が違います。

主な製造方法には以下のようなものがあります。

成形方法 主な形状(製品例) 適用樹脂
射出成形 様々な形状が可能 熱可塑性、熱硬化性
押出成形 断面形状が一定の製品(丸棒、パイプ、フィルム、シート、等) 熱可塑性
ブロー成形 ボトル形状 熱可塑性
圧縮成形 厚肉製品(インサート物がある製品も可能) 熱可塑性、熱硬化性
トランスファ成形 厚肉製品(インサート物がある製品も可能) 熱可塑性、熱硬化性
積層成形 積層版、積層管、積層棒、プリント配線板。 熱硬化性
注型成形 シート、フィルム、樹脂の塊(アクリル樹脂で出来た置物・昆虫標本、等) 熱可塑性、熱硬化性
粉末成形 大型容器(飲料水タンク、自動車のガソリンタンク、水層、等) 熱可塑性
カレンダ成形 シート、フィルム 熱可塑性
発泡成形 断熱材(冷蔵庫用、自動車のバンパー)、各種緩衝材、スポンジ 熱可塑性、熱硬化性
真空・空圧成形 各種食品容器(カップ麺等)、トレイ形状(冷蔵庫の内装部材、自動車の内装部材、精密部品の搬送用トレー、等) 熱可塑性
FRP成形 各種FRP製品 熱可塑性、熱硬化性

プラスチックの製造・成形方法

引用:みんなの試作広場(https://minsaku.com/category01/post216/

フジデノロモールドでは、この中でも「射出成形」を得意としており、特に九州では珍しい1000tの機械を使った大型製品の製造が強みです。

また、自社の配送センターから直送出来るので、配送コストを抑えた製造が可能です。

プラスチックの射出成形の製造工場をお考えのお客様は、お気軽にお問い合わせ下さい。

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